2021年07月10日
納得の出来
自家発酵種のカンパーニュがやっとできました。
ドライフルーツから酵母起こすやり方がスタンダードですけど,あれはどうも香りが甘くて苦手です。
粉のシンプルな香りと自然な酸味がほしいんですね。
私はパン屋ではないので,様々な種類を焼きたいわけではなく,自分の料理に合うパンを焼きたいと思ってます。
パテドカンパーニュに最も合うパンドカンパーニュ。
カンパーニュとは田舎といういう意味です。
都会的で無機質なピロピロオシャレ料理ではなく、見た目田舎っぽくてダサいけど人間らしい深い料理です。
なによりもまず味が優先されます。
原理主義者ではないので,膨らますために少量イーストの力を借りるのも良いと思ってます。目の詰まった重すぎるパンにはしたくない。
まずは粉の味わいを最大限引き出すために何段階かに分けて粉と水を発酵させ、マックス出たと感じたら軽く捏ねて焼きます。
この辺りはジビエの熟成期間の見極めと似てます。
私の感覚からして,パンは焼くものではなく、待つものだと思います。
狩猟の腕前は射撃の腕前ではなく、いかに鹿の気持ちになって山を歩き,鹿に遭遇できるかどうかが9割です。
粉の発酵状態を見極め、気泡の具合を想像して最後の最後に焼きを入れる。
料理人は肉の焼きにプライドをかけますが,パンは焼きの前段階、調理以前に本質があります。
何分発酵させるのか、何グラムに切り分けるのか、何分焼くのかというレシピ的な数値にあまり意味はないと思います。
生き物の活動である発酵の見極めこそがパンの本質です。
イースト使った管理しやすいパンしか焼いたことがなかったため,自家製酵母のパンがこんなにも面白くて深いとはこの年になるまでわかりませんでした。
ひょっとしたら、パン屋さんから見たらアプローチそのものが全然明後日の方向の事をやってるのかもしれませんが,粉の熟成とパンの発酵の関係性は料理人目線で考えるとこういうラインで考えるのが自然なのです。
この手のパンは関連書を読み漁っても再現できず、自分で試行錯誤繰り返して感覚的に”身につく”瞬間がわかるまでやり続けなくては出来ません。
今年の秋には小麦を蒔こうと思います。自分で小麦を育てて製粉し,その粉で酵母を起こし、知り合いの薪窯で焼きたいですね。
いや、薪窯も自分でアレコレ考えて作りたいです。