2021年05月18日
仕入れ
まー、あっち行ったりそっち行ったりして、結局ここに帰ってきました。
エチオピアのゲイシャナチュラル。
この生豆を超丁寧に焙煎します。
回数やることでなんとなく自分の好みの具合がわかってきました。
ワインは完成品を吟味しますが、焙煎コーヒーは自分の好みが反映させられる反面、失敗は自分の責任。
下手なソムリエみたいに作り手のせいにして終わりにはできません。
焙煎中は右手だけが機械的にクルクルシコシコとピストン運動を繰り返し、マメの事だけを見て集中し、ひたすら弱火で混ぜ続けます。疲れてきても辞めてはいけません。
パチパチ音がしてきたら皮がズルっと剥ける5秒前。皮がムケ始め、コンロの周りに薄皮が
飛び散ってカミさんに叱られるのが決定しても混ざるのを辞めてはいけない。ここからが負けられない戦い。チャフと呼ばれる薄皮がムケてマメの真皮が出始めたら今度は色がつき始めます。
ここで深めにイクのか浅めにイカセるのかは個人のフェチ問題ですが、私は早めに終わらせて酸味を強調。イタリアンやフレンチローストは苦手です。
あとは余熱でイキ過ぎないようにザルに上げて風を当てて薄皮を吹き飛ばし、粗熱をとります。
結構右手が疲れますね。
若い頃から右手を鍛えておいて良かった。
これで焙煎は終了。
完全に冷ましてから密閉容器に入れて2晩寝かせた頃が一番香りが立ってて旨いです。焙煎直後はダメですね。
こんなに面白い経験を全自動焙煎機にやらせてしまうのはもったいないですよ。
私は中華鍋とお玉の組み合わせが上手くやれます。熱のあたりが柔らかくて混ぜやすい。
直火焼きは火が強すぎるのではと懐疑的です。
配信全盛でワンタップであらゆる音楽が聴ける今日ですが、敢えてレコードで音を買い、針を落としアンプを通して聞く人が未だに居ます。
コンビニで100円1分で飲めるコーヒーをわざわざ焙煎からやり、ゴリゴリと手動で豆を挽き、ハンドドリップで淹れるというのは、それと同じく大切な時間のための儀式です。
なんでもかんでも効率的に時短の時代だからこそ、こうした時間が豊かに感じるという皮肉。
あ、私が焼いた豆をオンラインで販売したら誰か飲んでくれます?
とりあえず、オンライン・マリア・ローザの絶倫夫婦に送ろうかな。