2020年03月17日
第一回は山梨県での狩猟に同行してもらいました。
そして今日は畑に同行です。
朝イチから小田原の壇上さんに鶏糞堆肥を貰いに行って、お礼にエロ本を置いてきました。
今回は200キロほど。私の愛車が晴れてウンコまみれになりました。
良いですねー、鹿で血塗れ、山でドロ塗れ、堆肥でウンコ塗れ、やはり1ナンバーの貨物車ってのは、はちゃめちゃに汚れてて傷だらけのボコボコでなくては。
とはいえ、完熟の堆肥は臭くなくて香ばしい良い匂いがしますんで、どうってことは無いですね。虫が寄ってくるくらいです。
200坪の畑にトータルで700キロほど堆肥撒いたので、早速じゃがいもを植えましょうと。
今回はインカの目覚め、シャドークイーン、男爵、メークイン。
じゃがいもは植えるときに種芋を切る派と切らない派がいるんですが、一体どちらが正しいやら。
では、実験しようという事で、切った芋、切らない芋、切った断面上にしたもの、下にしたモノ、それぞれパターン分けてやってみました。
畑が広いのでそんなことも出来ます。
あとはニンニク、玉ねぎ、カボチャ辺りかな。
土づくりのために大豆と麦もやりますか。
2020年03月15日
フランスは飲食店も何もかも休業ですね。
日本で同じ通達が行われたら、一体どうなるんでしょう。
まあ、そん時はそん時ですわ。
2020年03月14日
今日は雪が降ってますが、季節は確実に移ろいでいます。
変なウィルスに人間は翻弄されっぱなしですが、そんな事は知ったことか、とでも言うように桜の蕾は膨らみ、野菜は育ちます。
玉ねぎは一枚一枚に農薬塗るように撒かないとダメ、肥料なしだとあんまり大きくならないよ、と言われますが、どうです?これを見てください。
土壌が豊かならば大きく育ちます。
土壌が豊かというのは、化学肥料や薬品に汚されてないということです。
薬品の力で大きく病気なく育つということは、逆に言えば薬無ければ成長出来ません。
完全な土で完全に育つのならば、なにもしなくても大丈夫。
オーガニックなので形ばばまたバラバラで、一般の規格からは完全にハジかれますが、私にとって形なんてどうでもよく、
そのプロセスと味わいにしか興味ありません。
人間も同じですね。
新玉葱は鮮度が命、少しでも時間が経つと刺激臭が出ますので、汁が滴るくらいの鮮度なものを浅く料理すると最高。
マジで?というくらい玉ねぎの甘さを味わえると思います。
ゴチャゴチャしてます。
フランス料理の仕事って、だいたいこういうゴチャっとした3K仕事です。
これを網で濾して綺麗なソースとか作るんですけど、その手前はこんな感じです。
こういう手間隙をきれいに濾したところにフランス料理の美学があるんですけどね。
スプーン一杯のソースに途方もない時間と手間があるのです。
さて、ポルケッタという聴き慣れない料理です。
こんな料理やってる店はもうないでしょう。
子ウサギとか子豚とか仔羊とか、小さ目の四つ足動物の前足と後ろ足を外し、内臓と一緒にファルスにして骨外した胴体に詰め直して丸ごと火を入れる料理です。
ウサギのロワイヤルも同じ工程ですが、あれは煮込み料理なので、さらに超絶技巧フジ子・ヘミング的になります。
これは単純に火が入ればOKなので、そこまで難しくないですが、ほぼ作れる人は居なくなりました。
今回はラプロー、仔ウサギです。
ウサギ料理って最近見なくなりましたね。
まぁ、それもわかりますよ、メニューでウサギあってもわざわざ選ぶほど認知されてませんからね。だったら和牛とか鴨とかの方がいいし、秋田県以外でウサギ食う文化もないですから仕方ないでしょう。
なので、今回は前菜としてお出ししてウサギの旨さを堪能して頂きます。
ソースはロワール地方特産の山羊フロマージュのサントモール・ドゥ・トゥーレーヌというこれまたヒトクセあるチーズを使ったソースです。
このフロマージュ、私のフロマージュランキングダントツの1位です。
これをニンニクやハーブ入れたドレッシングにして春野菜とサラダ。
このブログ読んでも全く味わいが想像つかないと思います。だからこそ、新しい出会いをして新世界への扉を開いてみませんか?
逆にウサギちゃんなんて食いたくない、という方は来週の予約はやめておいたほうが宜しいかと存じます。
今週発売の週刊新潮を新潮社から送ってくださいました。
一昨日も書いた、私の取材してくださっている奥野さんの最新記事が出てます。
が、
これは読まないほうがよろしいかと。
オヌヌメするしないのレベルではなく、普段の景色が変わってしまうと思います。
内容は様々な方面から聞いていた話であり、私も知識としては知ってた内容ですが、こうした内容は軽々しく私のような素人が口にする事ではなく、
しかるべき根拠に基づき、しかるべき媒体から出されるべきです。
残念ながら、この記事には続きがあり、全7回の連載なのです。
7週間に渡って現代の食環境の大問題を詳らかにしていきます。
しかしながら、読んでしまうと後戻り出来なくなる可能性大です。
このスジの話は現代農業が悪なのだ、という農家や農協を単純に断罪するのではなく、最終的には私たち消費者の大多数が望む物を供給するために長い試行錯誤の果てに現在の歪な環境となっています。
欲しい野菜や肉がメールで翌日に届き、スーパーでは一年中なんでも買えるという、世界一成熟した消費社会の日本でにおいて消費者、料理人がライフスタイルや哲学を変えることなく、慣行農業生産者を糾弾するのは筋違い。
こうした話を読んでなにかを変えなければと感じるのであれば、今夜の食事から世界を変えていくことが出来るのです。
2020年03月13日
ベビーラム、素晴らしい!
キュキュキュという若いゼラチン筋肉感。
スジがスジと呼ばないくらい歯切れ良く、それでいてコクもあり、羊感はあくまでも優しい。
今日だけで後ろ足が綺麗サッパリ無くなりました。
一週間熟成のベーコンと三週間熟成のシュークルートです。
ゼラチン補充の豚皮も入れてます。
この画像を見て旨そうだ、と思ったアナタはフランス料理好きですね。
ウワッ!ダサッ!と、思ったアナタ、青山か西麻布あたりのお洒落フュージョンの方がオヌヌメ。
シュークルートは味見してみると意外に発酵進んでなくてちょっと残念。
まだまだ発酵させてドイツ製に負けない国産ザワークラウト作ります。
2020年03月12日
今、私に密着取材してくれているジャーナリストさんの新刊です。
ジャーナリストや報道というよりノンフィクション作家さんというべきでしょう。
この本はちょうど3月11日に頂きました。
それぞれのエピソードは短く、丁寧な取材と細やかな構成で読みやすいものの、内容は非常にズッシリと重い。
人間は言葉を獲得してから言葉を通して世界を捉えますが、名前のあるモノが世界を形作るのではなく、人間社会における本質的な世界観とは言葉にできないような怒りや悲しみ、情熱、愛、畏れという抽象的にしか表現できない文脈にこそ存在するのでないでしょうか。
社会とは合理的で予定調和だと思っていたものがいきなり壊れ、予定不調和になった時に現れる非社会的で野生動物的な反応なのかも知れません。
当たり前としてあった日常性は地震と津波という非日常によって破壊され、生き残った人は亡くした家族と霊的体験によってもたらされる喜びと、目が覚める度に繰り返される別れに叩きのめされながらも生きる事の後押しを受ける物語を紡いでいきます。
そうした一言で言い表せない悲しみや苦しみや怒りの物語は次第に宗教性を帯び土着的な人間社会形成の土台になって民族性となるのではないでしょうか。
体験者の話は再現性もなく事実として証明するには難しい話ばかりですが、体験者にとってはこれらの話は紛れもない事実であり、それこそが震災という惨禍の記憶そのものなのだと思います。
霊体験や霊の存在を信じるかどうかというオカルトな話として受け止めると、この本の本質を見誤る事になります。
もう一冊頂きました。
この本はこれから読みますが、題名からしてヤバさ半端ないです。
コロナかなんか知りませんが、私はいつも通りです。
明日はいっぱいになってますが、土日は昼夜空いてます。
罹る時は罹るし、罹らない時は罹りませんよ。
良いモノ食って笑って良く寝てれば大体のことはなんとかなります。
2020年03月11日
乳飲み仔羊です。
ウールをとるメリノ種ですね。
発酵飼料と自家農園の小麦とコーンも入ってます。
だったら乳のみじゃねえじゃん、というお叱りはごもっとも。
しかし、EUの規定で乳だけの段階での出荷は動物倫理の観点から禁止なんですね。だから穀物を少し食べさせてから出荷されます。
さて、これってどう思いますか?
どうせ殺すなら乳だけだろうが穀物食べようが関係ない、偽善だ、自己満足だ、人間の勝手な都合だ、
乳離れしてない動物を殺して食べる事が倫理に反するならば、穀物食べさせさえすれば、なぜそれは許されるのか。
スイスでは生きたオマール海老を丸焼きにする事は法律で禁止されてます。
頭をぶっ叩いて気絶させてから行うべし、と。
しかし生牡蠣は良いようです。
どうやら、この辺の線引きはエビと牡蠣の間に引かれているようで、その基準はその動物が痛みを感じるかどうからしいです。
牡蠣が食べられる時に痛いかどうかは牡蠣に聞いてみないとわからない筈ですが、EU規定では牡蠣は生でムシャムシャしても良いが、海老は気絶させる方が倫理的に良しとされます。
哺乳類ならば、知性のあるイルカやクジラをターゲットにする捕鯨はご法度だけれど、ウサギや豚は知性がないから殺しても良いそうです。
皆さんはどう思われますか?
前置きが長くなりましたが、週末で乳飲み仔羊いきます。
とにかく柔らかくて独特の粘り気を感じていただきたいので、全部焼きでいきます。
部位は指定できませんし、そもそも指定できるほど大きくありません。
個人的にはスネ肉がオヌヌメ。少し大きくなると固くて煮込まないと食えませんが、乳飲みくらいなら焼いただけでゼラチン質がコリコリと旨い。
キュッキュッという若い筋肉食ってる感がハンパないので、上記のパラドクスを考えながら食べるサディスティックな罪悪感と背徳感は筆舌に尽くしがたい。
そう、人間の欲望とはかくも凄まじいモノであり、それが絶滅危惧種でない限り、こうした食べ物はこの世から無くならないのです。