2020年03月14日
今日は雪が降ってますが、季節は確実に移ろいでいます。
変なウィルスに人間は翻弄されっぱなしですが、そんな事は知ったことか、とでも言うように桜の蕾は膨らみ、野菜は育ちます。
玉ねぎは一枚一枚に農薬塗るように撒かないとダメ、肥料なしだとあんまり大きくならないよ、と言われますが、どうです?これを見てください。
土壌が豊かならば大きく育ちます。
土壌が豊かというのは、化学肥料や薬品に汚されてないということです。
薬品の力で大きく病気なく育つということは、逆に言えば薬無ければ成長出来ません。
完全な土で完全に育つのならば、なにもしなくても大丈夫。
オーガニックなので形ばばまたバラバラで、一般の規格からは完全にハジかれますが、私にとって形なんてどうでもよく、
そのプロセスと味わいにしか興味ありません。
人間も同じですね。
新玉葱は鮮度が命、少しでも時間が経つと刺激臭が出ますので、汁が滴るくらいの鮮度なものを浅く料理すると最高。
マジで?というくらい玉ねぎの甘さを味わえると思います。
ゴチャゴチャしてます。
フランス料理の仕事って、だいたいこういうゴチャっとした3K仕事です。
これを網で濾して綺麗なソースとか作るんですけど、その手前はこんな感じです。
こういう手間隙をきれいに濾したところにフランス料理の美学があるんですけどね。
スプーン一杯のソースに途方もない時間と手間があるのです。
さて、ポルケッタという聴き慣れない料理です。
こんな料理やってる店はもうないでしょう。
子ウサギとか子豚とか仔羊とか、小さ目の四つ足動物の前足と後ろ足を外し、内臓と一緒にファルスにして骨外した胴体に詰め直して丸ごと火を入れる料理です。
ウサギのロワイヤルも同じ工程ですが、あれは煮込み料理なので、さらに超絶技巧フジ子・ヘミング的になります。
これは単純に火が入ればOKなので、そこまで難しくないですが、ほぼ作れる人は居なくなりました。
今回はラプロー、仔ウサギです。
ウサギ料理って最近見なくなりましたね。
まぁ、それもわかりますよ、メニューでウサギあってもわざわざ選ぶほど認知されてませんからね。だったら和牛とか鴨とかの方がいいし、秋田県以外でウサギ食う文化もないですから仕方ないでしょう。
なので、今回は前菜としてお出ししてウサギの旨さを堪能して頂きます。
ソースはロワール地方特産の山羊フロマージュのサントモール・ドゥ・トゥーレーヌというこれまたヒトクセあるチーズを使ったソースです。
このフロマージュ、私のフロマージュランキングダントツの1位です。
これをニンニクやハーブ入れたドレッシングにして春野菜とサラダ。
このブログ読んでも全く味わいが想像つかないと思います。だからこそ、新しい出会いをして新世界への扉を開いてみませんか?
逆にウサギちゃんなんて食いたくない、という方は来週の予約はやめておいたほうが宜しいかと存じます。
今週発売の週刊新潮を新潮社から送ってくださいました。
一昨日も書いた、私の取材してくださっている奥野さんの最新記事が出てます。
が、
これは読まないほうがよろしいかと。
オヌヌメするしないのレベルではなく、普段の景色が変わってしまうと思います。
内容は様々な方面から聞いていた話であり、私も知識としては知ってた内容ですが、こうした内容は軽々しく私のような素人が口にする事ではなく、
しかるべき根拠に基づき、しかるべき媒体から出されるべきです。
残念ながら、この記事には続きがあり、全7回の連載なのです。
7週間に渡って現代の食環境の大問題を詳らかにしていきます。
しかしながら、読んでしまうと後戻り出来なくなる可能性大です。
このスジの話は現代農業が悪なのだ、という農家や農協を単純に断罪するのではなく、最終的には私たち消費者の大多数が望む物を供給するために長い試行錯誤の果てに現在の歪な環境となっています。
欲しい野菜や肉がメールで翌日に届き、スーパーでは一年中なんでも買えるという、世界一成熟した消費社会の日本でにおいて消費者、料理人がライフスタイルや哲学を変えることなく、慣行農業生産者を糾弾するのは筋違い。
こうした話を読んでなにかを変えなければと感じるのであれば、今夜の食事から世界を変えていくことが出来るのです。