« | »

2019年11月20日

惜しかったなぁ

そんな簡単に獲れたらつまらないですわ。

 

 

山梨県にて狩猟登録し、本日最初の狩猟でした。

 

ここは鹿牧場だぜ、との地元の情報を元に勝沼から少し入った山域にて単独猟です。

 

大物猟は巻狩りと言って、猟犬使った追い込みが一般的ですが平日の今日はメンバーが足りない。

待ち伏せ猟は人数が多いと気配に気付かれるので(業界用語で気取られると言います)牧場並みにウヨウヨいる山域を手分けして待ち伏せすることに。

どの山かは縄張りの関係から言えません。

 

牧場と呼ばれるだけあって足跡や獣道(業界用語で足跡はアシ、獣道はウツと言います)があるわあるわ。

さっきウンコしましたって感じのホヤホヤの湯気が出てるような新しいものもそこかしこ。

こりゃ期待できるぞ、今日は鹿刺身ぱーてぃーだな、うへへへ、なんて言いながら持ち場に入って周囲を警戒。

 

オヌヌメされた山域の道のない南斜面、杉の森をゆっくり歩いているとパキパキっと小枝を踏む音。

来た!

と、声に出さずにポケットからスラッグ弾というライフルみたいな1発弾を三発装填。

これ、一発250円します。

 

こちらには気がついてない。

距離は40m

ちょっと遠い。

もう少し引き付けて…

なかなか動かない。

ノソノソと斜面をトラバースしてくる二頭の親子鹿。

申し訳ないけど美味しそうな小鹿に照星を合わせる。

木が邪魔。

むううう、まだ、遠い。

撃つか、辞めとくか

小鹿と目が合いました。

気取られたか?!

 

 

ドン!!

逃げられた…

 

当たったかもしれないので、鹿がいた斜面に確認に行き、血が落ちてないか入念に探索。

ないか…外れたな。

惜しいけれど、ちょっとホッとしました。

殺さずに済んだ、と。

まだ私は狩猟者にはなりきれてないようです。

 

登山と狩猟の違いとは、登山は森林限界超えたあたり、クライミングであれば取り付きから1ピッチ登ってからが本番、という感じですが、狩猟の場合は山に入った瞬間から緊張感MAXであることです。

なんてことない藪や道のない沢や尾根にも、獲物の影を探し、獣の気配にアンテナを立てます。

人間の踏み跡ではなく、獣が通った痕跡を探し、獣の気持ちになって山を見る。

ピークハントやクライミングのグレードばかりみてきた私には、これまでなかった感覚。

 

 

あるハンター曰く、

自分が山にとって異質であってはならない

山と一体化しなければ獲物は得られない

 

 

 

狩猟に於いて、最も必要なスキルとは射撃でもなく山岳技術でもありません。

どれだけ獣に遭遇する確率を増やせるか、が全てです。

その為にどうすればいいのか、わたしにはまだわかりません。

山域なのか、待ち伏せの場所なのか、地形の読み方なのか、獣臭出るまで風呂に入らずシーズン中は洗濯もせず禁酒禁煙するハンターも居ます。

 

山と一体化するということの本質は自分で考える事なのでしょう。

 

 

私はとんでも無く面白い世界に足を突っ込んだみたいです。