2019年07月14日
引き続き、干し椎茸
マイブームまで行ってないけど、結構気に入ってます。
前回は仔牛肉と仔牛レバーに干し椎茸でしたが、今回はパンタードとフォアグラに干し椎茸です。
パンタードとはホロホロ鳥と言いまして、日本では食鳥としてほとんど飼育されておらず、私達のような人間向けに岩手や青森で育てている方がいますが、量は多くないので見ることは少ないです。
味わいはニワトリとキジを足して2で割らないような、わかりにくいマニアックな素材だとヤマドリっぽい白身の鳥です。
ジビエというほどクセは無いけど独特のコクがあります。
昨日、ウチの若い奴が賄い当番だったのですが、どうやら麻婆豆腐を作ったらしいです。
らしい、というのは出てきた料理が麻婆豆腐には見えず、食べても麻婆してない白い崩れ肉豆腐のようなシロモノ。
麻婆するには豆板醤や豆鼓やなんやかんやと調味料がはいり、色が赤黒くなるのですが、それら調味料をすっ飛ばしたらしいです。
ちゃぶ台ひっくり返して大暴れしてYahoo!ニュースに
世田谷区自営業(40)中肉中背中年男性がパワハラと暴行で逮捕、
麻婆豆腐にキレる?!
の文字が頭をよぎりましたが、ここは冷静に
なんでこうなったの?
麻婆豆腐ってキチンと作ったやつたべたことないの?
もっと辛くて山椒効いててミソ的なコクがあってさ、ネギと生姜効かせてさ、豆腐はまな板で挟んで水切りしてさ…
と、オトナ風なぼくちゃん。
賄い担当は
は、は、はい…食べた事ないかも知れません…
そ、そうか…
と、私はそれ以上何も言えず。
プロとしてやっていこうとする人間が食べた事ない物を作ることほど難しく、ある種、無意味な事はありません。
味覚的な正解がわからないのですから。
ネットでどれだけレシピ調べしてみても、実物食べなければ本当の答え合わせはないのです。
昔、野ウサギのロワイヤル作った時、臭いからと試食を拒否したスタッフに私はマジギレしました。
食べるという事、味を識るという事をナメるな、と。
新人君が食べた事ない料理を作って残念な結果となり、食材がある意味で無駄になる事は悲しい事です。美味しく食べられるはずの食材が不味い料理となってしまったのですから。
なぜ周りの先輩達は教えてやらなかったのか、とも言えます。
毎日毎日賄い時間はガチンコ勝負、大体毎日真剣にキレてます。
話が逸れました。
私がここでホロホロ鳥について講釈垂れても百聞は一食に如かず、ただの中吊り広告にしかなりません。
このテリーヌは軽く発酵する程度まで寝かせて旨い長期熟成型ではなく、なるべく早く食べていただきたいフレッシュタイプですので、ドンドン出していきます。
ホロホロ鳥ってこんな味わいでフォアグラと合うのね、干し椎茸ってフランス料理になるのね、という発見の喜びを感じて頂ければ幸いです。