2019年03月30日
久し振りに
体調を崩しました。
昨日は暇だったから良かったけど。
何年かぶりに熱っぽくてダルくて立っていられないほど。
何でもかんでもすぐに病院に行く趣味は無いので気合と根性と蜂蜜レモンたっぷりの紅茶飲んでガッツリ寝たら完全復活。
自然治癒力はまだ衰えてないかな。
そうそう、新入社員くんが入りました。
先輩がたはトコロテン方式でポジションが上がり、アトリエ勤務で肉三昧なヤツもいれば、野菜まみれになるヤツ、私の横でパワハラ三昧なのも居ます。
毎年恒例の新人研修である無理矢理ヒッチハイクからやってもらいます。
これをやると一皮剥けますよ。皆さんの職場でも是非やってみてください。
昨今はパワハラとか言われるんですかね?アホらし。
ヒッチハイクは相手の事情を慮る事を覚え、どうすれば気持ちよく乗せてもらえるのか、逆の立場ならばどう考えるかを悶々と考え、時に圧倒的に弱い立場ゆえに存在を否定されて心が折れそうになり、普段交わらないような人たちと濃密な時間を強制的に過ごす事でフリートークスキルが上がって明るくなり物怖じしなくなりますね。
私も許されるならヒッチハイクかブルベで根室を目指したいです。
新卒スタッフが入ると、それぞれの目標の通過点として自分の下で働いているという事を忘れてしまい、シェフのほとんどは自分色に染めていきたいという光源氏みたいな欲求に駆られますが、そんな事しても意味ないんですよね。
自分がそうであったように、粗方納得したら辞めて次のステージに行くのがこの業界でこの仕事です。
しかし、一緒に働く時間の中で少なからず私の思想や哲学は本人の料理人としてのDNAに確実に刷り込まれ、ふとしたきっかけでムクムクと芽を出すこととなります。そんな時に恥ずかしくない思想だけは持っていたい。
最終的には強烈に孤独な立場となり、自分の意思と責任で物事を考えて決めていかなくてはいけなくなります。
育つ子は勝手に育つし、辞めて欲しくなくてもドンドン辞めていきます。そこでオロオロするくらいなら店や会社なんて出来ません。
たとえ1人になっても何とかして生きていけるハングリーさと柔軟性を身に付けて行く事こそが、コックに限らず大切な事ではないかと思います。
さて、四月後半に出る本ですが、変態古典コースとして来週から小出しにしていきます。
リドボーやパテアンクルートなど、レアな料理オンパレードですけど、特別コースにしなくてもお出しできる普通の料理もあります。
例えば仔牛肉のマレンゴ。
フランス料理には牛肉のトマト煮込みという料理は存在しませんが、敢えて言うならこの料理がトマトっぽい。しかし、イタリア料理的なトマト煮とは全く異なります。
昔、賄いで牛肉のトマト煮なるものを私に出してきた勉強不足のスタッフがおり、メチャンコ怒った思い出があります。厨房で軽く暴れましたね。
逆説的ですが、この料理はトマト煮っぽくなるとダメなんですね。
これがなかなか理解されてない。だいたいレストランとかでマレンゴと言われて食べてみるとただのトマト煮込みな訳です。
おいおい、コレ違うだろ、ってね。
本では骨つき肋肉でやってますが、肩やウデとかでも出来ます。
元々の成り立ちがマレンゴという地理的な条件で手元にあった食材で作るというのが本質ですから、鶏肉でもいいし仔牛肉でもいい、そして揚げ卵添えたりザリガニ添えることもあるようです。
白ワインとトマトを入れる事がマストであり、あとは足し算して行くだけの料理ですが、シンプルなだけに難しい、そして違いが出やすい。
今日これから仕込んで出します。
来週はこんな感じで今まで以上にクラシックなフランス料理がメニューをザワザワさせると思います。