2018年10月27日
アイヌ料理に欠かせない
木の実。
キハダです。
アイヌ語でシケレペと言います。
ミカン科の木なので、ほんのり柑橘の香りがします。
狩猟漁労採集を行い、その知恵と工夫で極寒の北海道で生き抜いたアイヌ民族にとってなくてはならない木の実です。
キハダの木は落葉の高木で、実は未熟だと青く、食べられません。
樹上でこのように完熟すると鳥がついばみ始めます。
その衝撃でいくつかの実が下に落ちます。
高木なので登ることが出来ないため、実が落ちてくるまで待たなくてはなりません。
秋になり、山からの分け前として頂くのだそうです。
この実は独特の清涼感ある香りで、山椒に似たアクセントになります。
主にラタスケプというジャガイモやカボチャなどの和え物の香りづけに使われ、煎じてお茶にすることもあります。
薬としてのシケレペの効用は非常に高く、胃腸の調子が悪い時に威力を発揮し、打ち身や捻挫、やけどにも使われる漢方薬です。
また、キハダの木は別名黄檗(おうばく)と呼ばれ、皮は鮮やかな黄色がでるので、草木染めではポピュラーな存在です。
皮には防虫効果もあり、木の皮を米びつに入れておくと米虫の発生が抑えられます。
来週火曜日からのアイヌ料理ウィークでは、このシケレペと秋シャケでテリーヌかなにかを作ってみようと思います。
秋シャケも非常に重要なタンパク源で、神の魚カムイチェプと呼ばれています。
遡上するこの時期、自分たちが冬を越せるだけの量を川から頂くのだそうです。
そして大切なのは卵の入ってない鮭を選ぶこと。
卵を産み終えた鮭は人生の目標を終え、後は死を待つばかりです。
その鮭を採り、鮭トバやルイペ(凍った刺身)を作るのだそうです。
脂のない鮭の方が旨いトバになるとの事。
自然に寄り添い、あくまでも神である自然から分け前を頂くという慎ましく謙虚な姿勢と暮らしぶりからは、沢山のことを教えてられている気がします。
料理とは、こうあるべきだと改めて感じた次第です。
まだ少しお席ございます。
火曜から金曜の平日限定ですが、予約フォームに通常コースに並んで阿寒摩周コースがありますので、宜しければ是非。
ここで無駄を出しては本末転倒なので、食材準備のために明日日曜日までのご予約とさせていただきます。
阿寒で感じた事を私なりにフランス料理に落とし込んでみようと思います。