2018年08月04日
久しぶりに
ヒリヒリする本に出会いました。
生きていくには、誰かの命を奪わなくてはならないと言う当たり前のことを私達は完全にわすれています。
いや、忘れているのではなく、長らくその現実を見ないように蓋をしてきました。
それが牛であれ、イワシであれ、レタスであれ、トマトであれ、命を奪う事にかわりはありません。
このクソ暑いなか、ファーム・オカンのトマトはピカピカとその女子高生のようなハリのあるプリッとした肌に磨きをかけ、ミョウガはアルパインクライマーの如く上へ上へと登っています。
動物は生まれた瞬間に親から切り離され、独立独歩、その人生を自力で生きていかなくてはなりません。
しかし野菜類は、母体である土から伸びる臍の緒とも言うべきツルを切られた瞬間にその人生の終わりの始まりを迎えます。
一年間、自分で殺した肉しか食べないと決め、それをする事で増加を続ける人類の肉の消費を減らす糸口を見つけようとする著者の記録です。
まだ読み始めたばかりですが、ヒリヒリとした命のやり取りを改めて感じさせるルポです。
自分達が食べているものは一体どんな育てられ方をし、如何にして殺されるのか。
パックになってしまうと、それが動物の死体の肉片であることなどわかりません。
旨い、不味い、いい肉、ダメな肉、安っぽい評価を下されるその前には、人間の勝手な都合によって強制的に流されるおびただしい血と断末魔の叫びが聞こえているのです。