2018年06月08日

オカンのアプリコットです。
酸味が強烈だったので、そのままではどうすることも出来ず、砂糖で一回煮ました。
形が崩れましたが、そんな事はどうでも良いです。
ここまで来ると、傷とか凹みとかもカンケーないですよね。
料理の素晴らしさがここにあります。
表面のツブツブは昔カミさんとフランス放浪してた時にアヴィニョンで衝動的に大人買いして使いきれていないラベンダーのツボミです。
焼き上がりにパスティスという南仏の酒を振ってまして、エキゾチックな仕上がりになってます。
今日から。
青森の生ハムが届きます。
以前、グルメライドで伺ったおおわに自然村というところで作られている生ハムです。
http://namahamukoubou.owani-s.com
私が日本一と思う豚肉の長谷川自然豚で住み込み修行した三浦さんが同じ青森の実家に戻り、豚を育ててモモ肉を生ハムに加工してます。
長谷川さんは自然栽培の餌で豚を育てるオーガニック養豚の草分けです。
そして三浦さんは広大な土地での放牧と、スーパーや外食から出る食品廃棄物を加工して餌にして与えるという素晴らしいサイクルを実現させました。
生ハムの加工や熟成には廃校になった小学校を使っています。
本当かどうかわかりませんが、熟成にはクラシックが良いようで、音楽室にズラッと吊るされています。
愛情が伝わって来ますね。
味の方ですが、正直言ってスペインのものと遜色なく、個人的には上回っていると思います。
無添加非加熱食肉製品は日本の気候では難しいというのが持論でしたが、これを食べて不勉強を恥じました。
こればかりは食べて頂かなくてはなんとも言えないですが、この非常にクリーンなストーリーからして食べたくなるでしょ?
早ければ日曜日、遅くとも火曜日から出る予定です。
やはり、青森という土地は色々含めて別格です。
先程、青森出身の巨匠シェフが五島で使う、ぶっ飛びカフェインドリンクを3本も配達してくれました。
3本も飲んだらどうなるんだろう…

クリーンな食材、クリーンな料理を作りたいと常々思っています。
クリーンとはガバージュしないフォアグラだったり、絶滅しそうなクロマグロ使わないとか、農薬や化学肥料に頼らない果物や野菜を使いたいとか、草だけを食べた牛を使いたいということです。
牛は草食動物、本来は草しか食べません。
草だけで500キロまで大きくなるのは、4つある胃袋を草が行ったり来たりしているうちにバクテリアや細菌が繁殖し、それも丸ごと消化することでタンパク質を得るという反芻動物だからです。
なので、穀物食べなくてもいいんです。
広い草原や山岳地帯で草を食べながら移動して頑丈な体躯を持つ牛は旨い。
私が気に入って使い続いているハラミは完全放牧です。
完全放牧とは、草原を勝手に食いたいだけ食って寝たい時に寝てるってことなんで、手間は掛かりません。
なので、値段が安い。
安いから使ってる訳ではないですよ。
逆に穀物食べさせる場合は牛舎で管理して与え続けなくてはなりません。
昨日書いた鴨のガバージュに近い形での牛の肥育は病気のリスクが高く、抗生剤やホルモン剤が多用されます。
和牛に至っては、最後自分の脚で立てないほどに太ります。
要するに自然ではないのです。
食べさせる穀物は別に作る必要があり、大量の水と燃料を消費します。
牛が肉になるまで11トンの餌を食べます。
11トンの穀物作るためにどれほどの水と燃料が必要か。
ずっと考えています。
私たちが作っている料理はクリーンなのか。
サステナブルフードとかってそんなに安易にチャラく使う言葉ではありません。
そもそもサステナブルなんて食材に限らず現代に存在しません。
料理1つ何かすれば何かを壊しています。
禅問答みたいですがレストランこそがサステナブルでないのです。
みんなが家庭でその時の素材で料理ができれば、経済合理性で動くレストランなんて要らないのです。
ご家庭で料理して頂くために、ネット時代に私は本を出してます。
ちょっと面倒だと思う時にはターブルみたいな店があったらいいなと思い、ほんとに作りました。
ターブルも家庭で料理が作れれば要りませんね。
今晩食べるものが、一体どこから来たもので、何モノなのかを知る事がサステナブルへの第一歩ではないでしょうか?
そして家でストーリーのある食材でクリーンな料理を作りましょう。
晴れて廃業できる時が来たら、山小屋かビーチハウスで料理作ろうかな。

古いことが大事なわけでもなく
本質を理解するかどうかが一番大切なのです。
20年以上この料理を作ってます。
少しづつ改良しながらも、やってことはほとんど同じです。
脂の残し方を変えてみたり、焼き方を工夫してみたり、塗るパン粉の配合をパセリだけでないハーブをいれてみたり。
脂は焼きが甘いとブヨブヨするので、ある程度残してカリッとなるまで焼き、パン粉を塗ることでさらにパン粉が脂を吸って豊かな香りになります。
脂を徹底的に焼きますが、赤身はご覧の通り全面均一にロゼです。
ここ大事。
ここが出来ていれば、あとはどうあれ美味しいんですよね。
仔羊の本質を理解するのは、そんなに難しくないと思います。
2018年06月07日

バリッと箱を開けると、既に3種類のズッキーニ。
色も形も大きさもバラバラです。
他にもUFO形や丸形などのズッキーニもあるんです。
切ってしまえはどれも同じ、美味しいズッキーニなのです。
そして大事なのは切った後、どういう料理にするのか、というところです。
ここで広いレパートリーがあると、食卓は賑やかになり、食材発信の会話も増え、スマホ見ながら食事するという変な事も減るんではないでしょうか?
料理は覚えちゃえば後が楽です。
筋トレみたいにやらなければ減っていくものではないですからね。
料理を覚えていくと、使う食材のことを知りたくなり、オーガニックのナチュラルさがフィットするようになります。
それを知ると生産者の事を知りたくなって、最終的にはどんな環境で作られたのかという事に意識が向いてきます。
その分、外食が減って私たちの仕事が減るわけですが、それはそれで色々な意味で良い事です。
オーガニックを突き詰めると環境問題に行き着くというのはそういう事です。

フォアグラは肥大させた肝臓です。
ガバージュという方法で無理やり胃に餌を流し込み、強制的に太らせるのです。
ガバージュしやすいようにクチバシの先端はカットされ、ガーガー泣きながらパイプを突っ込んで行われます。
私も生産現場を見に行きましたが、それはそれはなんとも言い難い光景でした。
ガバージュは悪だ!フォアグラなんてサディストの食べ物だ!
ということで、カリフォルニアやニューヨークではフォアグラの提供が禁止されました。
ガバージュが倫理に反するのも理解できます。
難しいところですが、正義を叫ぶとそこに悪が生まれます。
しかし、例えばさっきまで泳いでいた魚がお口パクパクしながら骨だけに捌かれて舟盛りになっているのはどうなんだろう?
新鮮だね!素晴らしい!美味そうだ!
ということで良いのだろうか。
うちのフォアグラはガバージュしていないナチュラルなフォアグラです。
価格はガバージュしたものより手間も時間もコストかかるため、1.6倍ほど高いです。
放牧で鴨を育てる為、狐や野犬に襲われて個体数も安定しないそうですが、病気にかからないようにするには多様性がある環境で育てなければダメなんだそうです。
栄養価の高い餌を与え、肥大に耐える頑丈な体を作るために放牧するのです。
食べるということは命を奪うことに変わりは無いですが、結果だけを見るのではなく、プロセスも配慮されるべきでしょう。
そして勿論、無駄にしてはなりません。
じんわりとネットリとしたフォアグラの旨さは他の食材では残念ながら再現出来ません。
シンプル極まりないこの料理法が一番好きな食べ方です。
もはや、レーズンも必要ないかも。
クリーンな方法で育てられたフォアグラを今後も使っていきたいと思っています。
2018年06月06日

日本のカブは漬物用の品種なので水分が多くて生食向きです。
皮が厚くてホッコリしたヨーロッパのカブに一番近いのがこの黄カブです。
最初に栽培したのは20年ほど前、先鋭的な農家が集まる浜松農協と記憶してます。
花ズッキーニを始めたのも同じ所です。
このカブは生よりもしっかり火を入れた方が旨いです。
タイムと鶏がらスープでコトコト煮込んで、煮汁がツヤツヤになるまでグラッセします。

なかなか頭を使います。

畑には畑の都合があり、野菜や果物にはそれぞれ都合があります。
来週末にズッキーニが欲しくても、今日みたいな天気が続けば育ってないかもしれません。
万端整って送られてきたものが、思っていたよりも酸味が強くて甘さ控えめだったら、それはそれで考えなくてはいけません。
でも、それがナチュラルな姿です。
それも楽しみと捉えなくては。
自分を良く見せようとか背伸びしようとかって野菜や動物たちは考えません。
じっくりとその時を待つのみ。
傷や凹みがあるのが普通でしょう。
私も最近はありのままを受け入れて背伸びするのをやめました。
何となく気が楽になったような。
自然のサイクルに寄り添う料理作りたくなってターブルオギノを立ち上げて、かれこれ8年くらい経ちます。
レストランもそれにもれず、農家さんの野菜を見てから使い方を考えます。
そんな風だから、あれが食べたいと言われても用意出来ないことも多く、皿の上が根菜ばかりでがっかりさせてしまうことも増えたでしょう。
でも、これで良いんです。
無理しても仕方ないですから。
冬にラタトゥイユは作れません。
春にマロンパイは作れません。
オーガニックを突き詰めると環境問題に行き着くということはあまり知られていません。
自分たちが作った料理で誰かを不幸にしてはいけません。
それが人であれ、生き物であれ、土壌であっても。
親父やオカンにガスマスク送りつけて農薬使って綺麗な杏を作ってくれ、と言う気にはなれませんよね。
そこを突き詰めていくと、今のスタイル以外に考えられないというのが、私の答え。
オカンが送ってくれた杏は、強烈な酸味が特徴なので、少し寝かせてコンポートしてからラベンダーを香らせた南仏っぽいフランかタルトにしようかな。
蜂蜜とソテーしてアイスを載せても良いですね。
2018年06月05日
猛烈な日焼けと脚の疲労でダメージがハンパ無いです。
昨日、気がついたら鰻丼を牛丼屋で食べてましたが、それだけでは回復出来そうもなかったので、夜は家族で肉を焼き焼きしました。
だいぶ戻った感ありますが、こんな時はやはり肉を食うのが一番ですね。
ハラミ、レバー、ハツのローテーションで超回復しました。
特にランニングやバイクで追い込んだときは赤身の肉かレバーが良いと思います。
ピチピチの仔牛レバーがスタンバッております。

ピシッと角が立ってます。
質の悪いレバーにありがちな嫌な臭いもなく、甘さを湛えた極上品です。
半分を切りまして、今週末までは足りないと思います。
平日、お時間ある方は是非。
2018年06月04日

海に出て海岸線をひたすら西へ。
ド平坦35キロほど走って折り返し、それを3往復で210キロという、なんとまあ退屈極まりない行程を淡々と。
この淡々というのがトライアスロンには大切でして。
ペースもケイデンスもマインドも淡々と。
背伸びして自分よりちょっと早い選手についていこうとすると、後半必ずツケが回ってバテます。
マイペースが貫けるかどうか。
この辺が私の性格に合っているのだと思います。
天気が良く、かんかん照りで風もなく、190キロすぎた辺りからおかしくなってきて、気がついたら赤と黄色の看板の牛丼屋さんにいて、何故か先週と同じ鰻丼食べてました。
これはハンガーノックを通り越して夢遊病。

まあ、普通に美味しいので練習の時にはピットインしてしまいます。