2017年08月24日
青森リポート その1
今回のイベントは自転車と青森県の素材や料理文化が主役です。
or wasteの趣旨から言って、前回の食品廃棄や食環境サイクルというより、風前の灯火にある郷土料理文化、そして埋もれてしまっている素晴らしい食材を知っていただく事で、日々の暮らしや食卓になにかしらの良い学びとなれば、というイメージです。
この辺りは料理通信さんの十八番ですね。
私はただ、くっ付いて行っただけって感じです。
私が力を入れている秋田のイチジクや、大好きな高知県、まだまだ見所満載の鳥取県などの取材の旅は、全て料理通信さんにご案内頂きました。
1枚目の写真は津軽あかつきの会。
お姉様がたが忙しくも楽しそうに右へ左へと動き、絶え間ない笑い声とともに今日のメニューが、決まっていきます。
使う素材はキッチンの隣にある畑の野菜です。
タンパク質は鮒寿司の様に麹で発酵させたニシン、そして青森の大切なタンパク源である鮫。
熟れたニシンの付け合わせは、去年の硬くなった干し柿を焙じ茶で戻し、弘前名物の桜を自前で塩漬けしたものを乗せて添えます。
鮫は大根おろしとともに。
他にはミズという山菜、
ミョウガの田楽、茄子の紫蘇巻き、きゅうりの三五八漬け…
三五八漬けとは、塩3、米5、麴8という割合で野菜を漬け込んだもの。
まだまだご紹介仕切れませんが、今までに食べたことのないお料理のオンパレード。
青森県は素材がとにかく一級品が多いですが、その素材を謙虚に丁寧に美味しく食べさせる知恵と工夫に溢れていました。
私は正直、素材の良いところには料理文化は育ちにくいと思っていました。引き算の和食の場合、素材をなるべく新鮮な状態でありのまま食べる事の贅沢さに勝るものが無いと考えていたからです。
しかし、残念ながらこうした料理は食卓から消えつつあり、作れる方も減ってきているそうです。
東京で同じお料理を食べられるお店があれば、間違いなく最先端となるでしょう。
ここまでの野菜料理のバリエーションは他のどの国でもどの地方でも見たことがありませ
お姉様がたのボスです。
続いて、大鰐温泉モヤシの生産者さんです。
水耕栽培のモヤシしか知らない私には衝撃でした。
畑に深さ30センチの溝を掘り、門外不出の在来種である子八豆を撒きます。
そして温泉をかけつつ、遮光して一週間。
温泉の温度や分量は一子相伝という、これまた超秘密主義だったため、のちに後継問題が浮上、今回ご紹介くださった若い八木橋さんが生産を続けています。
江戸時代からほとんど変わらない作り方で育てられた大鰐温泉モヤシ。
その途方も無いご苦労を生かすも殺すも料理次第。
美味しい料理にし、お客様に美味しいと言っていただかなければ、そしてリピートしていただける様な料理にしなくては買う事は許されません。
それが何であれ、素材を実際に使う料理人の責任はとても大きい。
私たち料理人は素材に寄り添うべきなのです。主役は素材であって、その生産者であって、そしてお客様であって、ドヤ顔の腕組みしている料理人ではありません。
どんなお料理にするか、正直まだ決めてません。
でも、当日は思いっきり味わって頂ければと思います。
続く…