2017年01月08日
美味い牛見つけた
フランス料理において、美味い肉とは何なのか。
熟成が効いたカビっぽい香りもいいでしょう。
日本の熟成肉は苦手なので私は使いません。
フランスには独特の菌が居て、ドライエイジングしても日本でやるのとは全く違うニュアンスになるんですよね。
生ハムやサラミ、フロマージュやワインにしても同じことが言えるでしょう。
日本で生ハム作ってもヨーロッパのそれとは違った仕上がりになるのはそういうことです。
肉の見極めとしてはアミノ酸がある程度でて来て肉の繊維を少し柔らかくし始めた頃合の肉が良いですね。
真空技術のおかげでウエットな状態で熟成させることが可能になり、私的には真空で一週間から10日寝かせたモノが良いと思います。
そしてフランス料理で切っても切り離せないソース。
肉の旨さを最高到達点まで引き上げるソースとは一体何か。
ソースは旨味と油脂が軸となり渾然一体となった芳醇な味わい。
旨味とはワイン、酢、アルコールのバランスと煮詰め具合で決まり、その旨味を膨らませる上質で丁寧に引かれたフォンが絶対条件。
やはりエシャロットと黒胡椒、ニンニクを赤ワインでゆっくり煮出して、フォンドボーとバターを入れたクラシックなソースです。
古典は偉大でした。
ここのところ、実は色々と肉を食べ比べております。
牛肉を先入観なしで私が美味いと思うのはどんな肉なのか、値段やブランド抜きに最もフランス料理として美味い肉は何か。
今現在での答えが出ました。
やはり、何と言われようが、黒毛の霜降り肉ではない。
霜降り肉は焼きすぎでも生っぽくてもあまり違いが出ないのはいいことではありますが、それはプロの仕事ではないし、そもそもソース前提の料理とは別として考えなければいけない。
以前はブラックアンガスのランプが良いと思ってました。
ただ、少し繊維が荒すぎて歯触りが気になってました。
今日、それが覆ったんです。
ムフフフ。
やっと会えたね、君を探していたよ、的な。
あ、馬ヒレではないです。
ただの牛肉の話。
特別な牛でも何でもないのですが、私の方向性にバッチリ合う肉が見つかりました。
さて、そんなお気に入りの肉はどう焼くべきか、その果てしない旅の途中にいます。
普段は塩しかせずに焼いて、仕上げに胡椒を振るというスタイルでしたが、果たしてそれは正しいのか?
ある程度の塊で焼き、熱いうちに胡椒と少しの塩をしてから落ち着かせて真ん中をカットして肉の断面にも塩を振るというのも正しいのか?
粗挽き胡椒を貼り付けて焼いた方が美味いのでは?
でも、焼いているうちに胡椒が焦げるのは当たり前なのでやはり振らないで仕上げに胡椒した方がいいのか?
うーん。
果てしない肉との対話は続きますが、素材として納得いく牛肉がやっと見つかりました。
あとはプロセスにこだわり、最高の焼き上がりを目指すだけです。
そんな答えのない問いに想いを巡らせるのがたまらなく好き。