2012年11月17日
なぜに
私が薬の入れない食肉加工品にこだわるのか。
保存料入れれば、賞味期限延びていつまでも食べられます。結着剤入れれば、ソーセージも水分量が多くても繋がりますから、ちょっとの肉で沢山出来ます。儲かるし。
が、しかしですよ。
そもそも肉が腐らない方がおかしいんですね。水分量が多くて日持ちするってのはおかしい事なんです。
豚肉の切り身を3日も冷蔵庫入れとけば、ふつうは臭いが出たり、味が変わったり、腐ったりするもんです。
テリーヌだって、空気に触れっぱなしで色も味も風味も変わらないってのはあり得ない事なんです。うちのパテだって、カットして真空しなけりゃ、朝開ければ夕方にはダメになります。
それを無理やりってのは自然の摂理からはかけ離れてるんです。
それを見直そうってのが、いわゆるスローフードですね。
フランス料理をちゃんとやってるひとならだれでも知ってる”ブリア・サヴァラン”というオッサンが提唱したマニフェストなんですが、有機農業はじめとする良い生産者を守って、子供たちに安心な食事を提供し、昔ながらの伝統的な料理法を守る、っていう感じのものです。私は修行時代、この人の本を読んでとても影響されました。
100年前でも同じようにサラミやパテは作られていて、薬なんかなくてもきっちり作れば保存食となるのですね。
形が悪い野菜だろうが、ヒレが折れた魚だろうが、太りすぎた豚だろうが、畑を食い荒らす鹿だろうが、私たちの持っているテクニックで生産者の皆さんが気持ちを込めて作って下さっている食材を無駄にすることなく、薬や化学的なものに頼らずに製品を作り、なるべく安い価格で消費者の皆様にお買い上げいただいて発展していくのが、私の目標です。
私たちフランス料理の人間はそういう製法を守って作り続けていくことが使命であり、フランス料理の本質だと思います。
そうやってキッチリ作ったものがご家庭の食卓に気軽に並んで、お子さん共々安心して美味しく食べて下さるのが私の夢です。
というわけで、代官山に引き続き、スローなコンセプトを引き継いだターブルオギノ品川を12月13日にJR品川駅改札内、エキュート品川にオープンさせます。
最初は肉加工品を専門に販売致しますが、ゆくゆくは代官山にあるような全国の生産者さんの有機野菜を使ったお惣菜も並べて参りたいと考えております。
お、ついにoginoも拡大路線だな、やっぱりか。
と、いうご意見もあると思います。
別にいいんです、そんなことは。
ただ、こういう事はブログや雑誌で言ってるだけじゃ説得力無いんです。
言うは易し、行うは難し。
だと思うんで。